ー日本感染症医薬品協会奨励賞 授賞式、受賞講演並びに特別講演ー
奨励賞 授与式
(左)埼玉医科大学医学部感染症科・感染制御科
助教 酒井 純 先生
(右)理事長 岩田 敏 先生
奨励賞 受賞講演
発熱性好中球減少症のメタゲノム解析を目指したシークエンス技術の臨床応用
酒井 純 先生
(要旨)発熱性好中球減少症(FN)の迅速診断と耐性遺伝子の解析を目的として、次世代ポータブルシークエンサー「MinION」を用いた、新たな微生物検査の有用性に関して検証した。血液培養検査陽性例では、培養ボトル陽性から微生物の同定までに数日間を要する一方、本手法では6時間程度でボトル内の微生物を同定しつつ、抗菌薬耐性関連遺伝子を同時に検出することが可能であった。グラム陰性菌に関しては、既存の菌種同定検査の同定能より優れた結果を示した。一方、グラム陽性菌や真菌、共感染例における菌種同定能の感度は低く、今後新たな手法を加えることが必要と考えられた。今後、私達はMinIONによる菌種同定能に関する解析を継続し、最終的にはFNの新たな菌種同定法としての可能性を探り続ける。
特別講演 我が国のワクチン開発戦略について/ワクチン開発の問題点
中山 哲夫 先生
(要旨)ワクチンの歴史から紐解き、これからのワクチン開発の方向性について講演した。ワクチンの原点はジェンナーの種痘から始まり、予防医学としてのワクチンの重要性、弱毒(減病毒化)によるワクチン製造、ワクチンが生体の免疫応答を利用して感染予防、発症を阻止すること、嫌気性菌、抗体の発見、不活化ワクチン、生ワクチンの開発、アジュバントの有無によっても炎症反応に違いがみられること、また、ワクチンギャップといわれるが、これからはEducation, System Gapへの対応が必要であることが講演で話された。